本日はレンズのお話。「神話」「伝説」「唯一無二」「いわゆる」などなど、これほどまでの枕詞が付くレンズ、そうはあるものではありません。そんな「伝説」的なレンズ「Leica SUMMICRON 35mm F2 8枚玉」が本日のテーマです。
手に入れた伝説、ズミクロン8枚玉
先日2回にわたって掲載したキュンパス只見線の旅(⇒参考記事①、参考記事②)。その際使用したのが、ズミクロン8枚玉でした。
ズミクロン8枚玉・・・のメガネ付き
手に入れた伝説の8枚玉はメガネ付きのほう。メガネなしの普通(?)の8枚玉はちょっと(予算の)限界突破しておりますが、メガネ付きは用途が限られているせいか、ズミクロン8枚玉にしてはお求めやすくなっています。
僕の場合はメインのカメラがM3なので、むしろメガネ付きのほうが好ましい。うむ、これぞ相思相愛と自分を納得させる儀式はとっくの昔に完了しております。
コンディションはどうだい?
ザっとレンズを舐めるように眺めると外観は、まぁきれい。この伝説のレンズがこれからどれだけ酷い扱いを受けボロボロになっていくのかと思うと、おちおち夜しか眠れません。
ただ、レンズ本体のほうはいくつかのコーティング剥がれがある模様。裏側からは問題なさそうですが、真正面から見るとクッキリハッキリ見える・分かるので、状態はまぁそれなり・・・というところなのでしょう。その分、メガネ付きの8枚玉としても割安で、軽い財布が取り柄の自分としては大いに助かったのでありました。
ズマロン三半はいずこへ
さて、M3用メガネ付きの35mmとしては、実はみんな大好き・僕も溺愛のズマロン三半がありました。焦点距離被っているけど、ズマロンはどうするの??
酒を飲んだところまでは覚えている
ズマロン三半は、出番は比較的少なかったものの、コントラスティでドラマチックな写りがとにかくお気に入りでありました。8枚玉を手に入れたこの日も、途中まではズマロン三半がカメラに付いていたはずなんだけど・・・
串カツ田中で1杯のつもりが、10杯くらい一気に飲んでから、ちょっと記憶が曖昧です。
伝説のズミクロン8枚玉(メガネ)の試写
記憶を取り戻してみると、おや、M3にズミクロン8枚玉が付いている。ふむ、これは試写せよというお告げに違いない。
あれ、8枚玉って滲み玉??
という訳で、日が暮れかけた銀座の街から8枚玉の試写の旅。現像・スキャンから上がってきたフィルムのひとコマを見て驚きました。ありゃ、ズミクロン8枚玉って思いのほか滲み玉??
開放で撮ると光源がフワッとホワッとして全体的に低コントラストで軟調な描写になるのは意外も意外。もっとこぅ、ズミクロン50mmやズマロン三半のように開放から切れとコントラストがある写りなのかと思っていました。
コマ収差というのでしょうか? 端に行くほど光源が引き伸ばされてグルグルっとする写りも想定外。まるでズミルックス35mm(2nd)のような写りです。
想定外に優しい描写は人や猫に向いてるかも?
想定外にフワッとホワッとした写りで、へぇこりゃぁ驚きました。開放または解放付近での軟調な写りはレンズの個体差によるものなのか、それともレンズコーティングの劣化によるものなのか、世にある8枚玉全般に通じる個性・特徴なのかは定かではありません。
いずれにしても、手元にある8枚玉は(解放付近では)ゆるふわであると認識・把握。ということは、でありますよ??
8枚玉って人物や動物に向いているのでは?? 低コントラストな写りは、黒猫氏のような黒主体の被写体に特にピッタリかもしれません。う~ん、これは意外だ、知らなかった。
8枚玉、絞ってみても優しい描写は変わらず
8枚玉の開放~解放付近がこんなにも優しい描写だったとは、同年代のズミクロンでも50mmとは全然違うんでありますなぁ。そうなると俄然気になるのが絞ったときの写り。
先日の会津若松・只見線の旅含め、何枚かF8以上に絞って撮ってみたところ、ふむ~、優しい描写は健在か。
コントラストが低いからでしょうか、シャープネスも低いのか、ギスギスしていない、何とも穏やかな写りが絞っても続きます。意外だ、とても意外だ・・・。やっぱ個体差もあるのかな??
ズミクロン8枚玉(メガネ)寸評
ズマロン三半に代わってやってきた8枚玉ズミクロン。ひと通り同じフィルムで試写してみて傾向が見えてきた気がします。
写りは意外のひと言
まず、写りに関しての感想は「意外」のひと言。もっとこぅ、なんだろう、ズマロン35mmのようなズミクロン50mmのような写りだと思っていました。
ズミルックス35mmよりかは滲まないけど、傾向はズミルックスに近いかも?? そしてコントラストは驚くほど低い。ただ、これは現像時間・温度あるいはフォトショ(もしくはプリント)で調整できることで、全然問題ありません。
そう思うと、ズマロン三半はシャープでコントラストが高くて、とても現代的?なレンズだったのでありますなぁ(惜しいことをした・・・
8枚玉(メガネ)の操作性は素晴らしい
ズミクロン8枚玉に関して、もう1つ感想を付け加えるならば、その操作性。絞りの操作、無限遠の解除、どちらもズマロン三半とは比べ物にならないくらい快適・スムーズで素晴らしい。特に8枚玉の絞りはレンズ先端からちょっと離れていて、全周にギザギザが付いているので操作がめちゃくちゃしやすいのでありますよ。
一方のズマロン三半は、フードと絞りが近くてギザギザも一部にしかついていなくて、んんん、なんかどうにも使いづらい。無限遠のロック解除は、質感・操作性とも8枚玉が100歩くらいリードしているとしても、まぁ許容範囲でありましたが、こと絞りの操作に関しては8枚玉の圧勝でありました。
あともう1つ、実はズマロン三半で気になっていたことがありましたが、それはまた後日の機会に。8枚玉で比較検証の素材写真を撮ったら、ズマロン三半と写りの違いを比べたいと思います。
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